単調な毎日をさらに単調にする期間・・・それが夏休みだ


僕は毎年この期間が一番嫌いだったかもしれない、学校が休みというのは嬉しいがこれと言って楽しいこともなくただ暇な日々が繰り返されると思っていた


あの事が起きるまでは



7月の下旬、僕は9時過ぎに目を覚ました。外は太陽が照り続きセミの声が嫌ほど聞こえてくる


そんな中寝ぼけた顔で僕は朝食のコーンフレークを食べていた


両親は共働きで起きたら二人ともおらず、姉は多分部活にいっているのだろう


家はガランとしており、セミの声だけが聞こえるその音を消すためテレビをつけた


テレビではニュースが流れており、聞いたことのない村の川で溺れた子供を助けたニュースに、少女が行方不明になったという内容が報道されていた


毎年夏になったら流れるニュースだなと思った


テレビの電源を切りコーンフレークの牛乳を飲み干すと僕は部屋に戻った


やることはない、宿題はもうすでにやり終えた、暇を弄ぶ僕はとりあえず寝ることにした


クーラーをつけてもう一眠りにつく


思ったより寝つきが良く気がついたら寝ていた・・・



『ここはどこ・・・?』


見たことのない公園、遊具とかおいてあるようなのではなく散歩道みたいな公園でとてもキレイに整備されている、


とりあえず歩いてみる、ひたすら歩くが誰一人として会わない、さらに歩いていると後ろから


『すいません』


と声をかけられた、内心驚いたが後ろを振り向くと同い年ぐらいの女の子が立っていた


『まさか、ここに人が来るなんて思ってもいなかった』


彼女はビックリした様子で彼女は言った


僕は漂流していて救助された気分だった


『あのココは一体どこなんですか』


僕は真っ先に彼女に聞いてみた、彼女は首を横にふり知らないと答えた


『ココからでられなくなったらどうしよう』


焦っている僕に対し彼女は


『それなら簡単よ』


と言ってのけた


『どうやって?』


と聞くと


『ここで話すより向こうで話さない?』


と彼女は屋根のついた休憩所を指差した


確かにここは暑い、という事で聞きたい事は山積みだが、我慢して休憩所に向かった


その休憩所は木の屋根に木のベンチ、それにテーブルまであった、ベンチに座ると僕は真っ先にあの質問をした


『どうしたらここから出れるの?』


『その内わかるよ』


と聞いた瞬間、急に彼女が歪んでみえた、というより景色全体が薄くなっていた


ベットから起き上がる僕、時間を見ると2時間経過していた


『良かった夢だったんだ・・・・それにしてもあの子可愛かったな』


なんだか急に胸が熱くなった・・・また会いたいそう思えた


深呼吸をし、もう一度寝ることを決意した、寝起きという事もあり簡単に眠りについた


またしても同じ公園の休憩所、そこには彼女がキョトンとした顔でベンチに座っていた


『また来たの・・・?』


僕は少し恥ずかしくなった


『けど会いにきてくれてうれしいな、なにかお話しよ』


彼女が嬉しそうにそう言った、僕は二つ返事でOKをした


『君は名前なんて言うの?』


『僕の名前は健一・・・健康一番って覚えて』


『おもしろい覚え方〜私は恵、メグって呼んでね』


健『そういえばメグさんはどこに住んでるの?まさかここじゃないよね?』


恵『当たり前でしょ、私は△△県の〇〇って所に住んでるの』


健『え!?隣県!!僕は□□市って所に住んでるだけどそこ知ってますか?』


恵『うん知ってるよ、確かそこには大学病院があるよね、私そこで入院してたの』


健『へぇそうなんだすごい偶然だね』


その後の話で、メグは僕より一つ年上で、幼少の時病弱で今でもたまに入院しているという事を聞いた


そして何気ない会話、夏休みが楽しいというメグ、僕はとりあえずあいづちを打ったが僕は夏休みが好きになれない


両親は共働きで旅行にいった事などない、それに友人も少ないからあんまり遊ばないからだ


けれどここでメグとしゃべっている時間はとても楽しかった


この時間がずっと続けばいいのにと思った瞬間メグが薄く見えてきた、帰りの時間だ


僕はメグにバイバイと言い手を振った



目が覚める・・・あれからまた2時間が経過していた


起きて冷蔵庫から麦茶を飲み冷静考える


今思えばこれは僕の夢で、僕の意識のみで構成されている、メグは現実には存在しないのだろう


なんだか急に切なくなった、メグは夢の中でしか会えない・・・


けれど夢の中で会えるならもう一度寝よう!


ベットに入り寝ようとしたが目を瞑っても寝れずに夜になっていた


両親が帰ってきて夕食をとる、そして夜になり眠りについたが、ついにメグの夢は見れなったが


何日か過ぎ朝寝るとあの公園に行く夢を見ることがわかった


時間によってはメグがいない時もあった、いつもの休憩所でメグと会ったときに聞くとメグも僕がいない時があるという


多分、それは僕が寝ていない時で二人とも寝ているときのみ会えるのだと確信した


僕は無理やり寝ているのだがメグは今は入院をしており朝も寝ているのだという


それはメグは実在しているという事で僕は内心ですごく喜んだ


恵『健君・・・すごく嬉しそうだね、何かあったの?』


健『いや・・・まぁそれなりにいいことがあったから』


恵『そうなんだ〜好きな女の子でもできたの?』


健『違うよ』


照れ隠しだと気づかれないようにそっけなく言った


恵『本当に〜?確かに健君てキスもした事なさそうだもんね』


僕は思わず噴出したじゃあメグはあるのかと聞くととメグは


恵『私はあるよ、健君、私とキスする?』と言ってきた


僕は胸がドキドキしだした僕は、バカにするなと言い放つとメグは顔が赤いよと言い笑い出した


なんとも楽しい一時、これが現実ならどれだけ幸せだろう、いつの間にかメグに恋心を抱いていくようになった



これほど寝るのが楽しいと思えた事がない


もうメグと会って10日が過ぎようとしていた


僕は朝寝るのが日課となっていた、そして今日もメグとの会話のはずだったが今日の夢は違った


僕が家から出て行き、自転車でどこかに向かう夢、ひたすら自転車を漕ぎどこかに目指している、見覚えがある風景


そしてさらに漕ぐと、いつもの公園に着いたところで夢が覚めた


この日からメグと会う回数より自転車を漕いで公園に行く夢の方が多くなった


その事をメグに話すといきなり黙り込んだ


最近メグの顔色がすごく悪い、元々病弱だからすごく心配だ


色々話し僕が帰ろうとするとメグが


『健君と会えてすごくよかったよ!実は私健君の事・・・』


そこで目を覚ました、僕はすごくメグと会いたいという衝動に駆られた


次の日僕はついにその公園まで行くことを決意した、何回も夢を見続けたことでその道を完璧に把握したのだ


自転車にまたがりひたすら漕ぐ、夢で見た景色を次々と越えていく


一時間ほど漕いだだろうか、そこは町外れで公園のある場所についたがそこは公園ではなく広い空き地だった


『確かにここだよな・・・?』


僕はその空き地を見渡したそしたら空き家が一軒あった、僕はなんとなくその空き家に入る


扉を開けると廊下は長年使われたことがなさそうで古い雑誌が散乱していた


そして部屋のドアをあけると・・・僕は思わず腰を抜かした



女の子が血を流して死んでいたからだ


『あぁあぁ』


言葉にならない、そうしているといきなり血まみれの女の子の顔を上げ


『ケ・ン・ク・ン・キ・テ・ク・レ・テ・ア・リ・ガ・ト・ウ』


そう言葉を発した


僕は恐怖のあまり家を逃げ出し警察に行きいきさつを話した


その後死んだ少女がメグだとわかった。そして殺した犯人が逮捕された、2週間前、一時的家に帰っていたメグを暴行目的で誘拐し殺したという


メグは確かに実在していたがそれは残念な結果となっていた


あれ以来公園の夢は見なくなった


外は太陽が照り続きセミがやかましく鳴いていた



夏休みは半分を過ぎようとしていた



<終>


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